① なんでも屋さん

離婚後に別れた悠季(子供)と再会した未夢(母親)は「ママと暮らしたい」と、訴えた悠季の声に沿い『親権移動の裁判』を起こしたが・・負けた。

親権移動の裁判の基本は、今現在『子どもと暮らす親』が、ほぼ勝ち。つまり手放した親は裁判を起こす前から『子どもを育てる資格なし』という烙印が押されています。
理由は『子どもを1度手放した』この事実が大きな意味を持ちます。そして『子どもが住む環境を変えたくない』。この2つがベースにあるようです。付け加えると、子どもを見る大人は、親以外にいるか、いないか、この点も大きいと思います。

未夢が親権移動の理由に書いたのは、“悠季が訴えた話や行動”、その結果「子供が母親と暮らしたいのは当たり前、寂しいのも当たり前」よって「親権移動の理由にはならない」と、却下の判決が綴られていた。

実は父親の暴力』と『子供の怯え』も書いたのですが、裁判官には何も伝わらず、『父親の家族が全員で子供の面倒を見る』という、意思表示の言葉が認められた。

判決結果を、何度も、何度も、繰り返し、見つめて、見つめて、、いる未夢、、悠季の必死な顔、たくさんの涙、「ママと暮らす」と、偽善の前で、何度も叫んだ悠季が・・未夢を動かす。

『裁判に負けた=正当な道はない』と、判断した未夢は、悠季を連れ出す事を決めた。

慎也と未夢は、再び、なんでも屋さんの事務所を訪ねた。
事務所の中へ入った2人が腰を下ろすと、慎也が裁判結果を報告した。

すると、

「そうでしょ、だから何度も言ったじゃないですか『裁判を起こしても無駄ですよ』と、こういう場合は、子どもが手元に居る方が勝ちなんです。僕たちは何度もこのような場面を見てきましたから、裁判とはそういうものなのです。始めから、連れて来た方が良かったでしょ。」

誇らしげな笑みを浮かべる、なんでも屋さんの言葉は、後悔を促すように流れた。

「結果は負けてしまいましたが、“やって良かった”、と思っています。
後悔はしていません。」と、胸を張る慎也。

なんでも屋さんの誇らしげな声が消え・・、
慎也の満足げな声も消えた・・・、

2人の会話に耳を澄ませる未夢は、自分の中で会話を始める

裁判とは、そういうもの』とは、どういう意味?・・法律は弱い者の味方じゃないの?
負けたのに『やって良かった』とは、何が言いたい?・・それはあなたの満足度・だよね、

じゃぁ、裁判って何? 誰のための裁判なの? 個人にとって法律って、何だろう?
でも、法律がないと・・たぶん、困るよね、法律自体には感情が無い・・かも知れないけれど、裁判官には感情を持って貰いたいな~ぁ、未夢の頭の中で言葉が賑わう。

事務所の中に漂う空気は異空間の時を刻む・・・すると、

「8月に悠季ちゃんを連れてこようと、考えています。
その時に、また、お手をお借りしたくて今日は伺いました。ご都合はいかがですか?」
笑みをこぼす慎也が問う。

「はい、判りました、それでは、幾つか、質問をさせて頂きたいのですが、
よろしいでしょうか?」と、声を掛けるとメモ用紙とボールペンを手にし座り直した。

質問内容は、偽善の性格から始まり悠季の行動パターンなどを、一つ一つを事細かく、未夢に対して質問と確認を繰り返した。その慎重さは、正に『失敗は許されない、チャンスを生かす』と、なんでも屋さんの姿勢が伝わってくる勢いだった。

その後は、連れてくる時の注意点と、連れてきた後の注意点を淡々と話していた。
口を閉じたまま聞き入る未夢は、呆然、現実を目の当たりにした緊張感に見舞われた。

慎也は、未夢以上に・・・硬直していた。

「はい、判りました、それでは、いつ頃を、予定されていますか?」
「お盆が過ぎた、日曜日に、予定しています。」と、慎也が応えた。

「では、8月18日土曜日の夜、岩手で会いましょ。」
「よろしくお願い致します」と、慎也と未夢は頭を下げて事務所を出た。


② 罪悪感が旅行気分に変わる時

なんでも屋さんから突きつけられた『現実』は、2人を押し潰した。

法に背いて行動を起こす』とは、“犯罪者の道を歩く”、“社会から”、“世間から”、葬られる。
そんな、どす黒い空気に覆われたような『罪悪感』に見舞われてその罪の大きさに・・心が怯える。

2人は、口を開く事さえ出来ず、沈黙が続く。
その重い空気の中で口を開いたのは・・未夢、

「想像は付いていたけれど・・、やっぱり連れてきた後が・・大変そうだね・・。
私、想像を超えるショックを受けた。あまりにも現実味が有り過ぎて・・・、

  『みんな逃げ回っている・・』とか、
  『引っ越しを繰り返している人も・・』とか、
  『絶対に住民票は移動してはいけない・・』とか、

どれもこれも・・・辛い、自由を奪われたような・・・・・

住民票を動かせないって、やっぱり、“法を犯す”、と言う事だよね、
マッ、“偽善さんから逃げまわる”、と、言う意味だと思うけど・・、
どういう意味であれ・・内容が重すぎて、

想像はしていたけれど、解っていたつもりだったけれど・・・、
やっばり、どこか、他人事、だったんだなぁ・・・、
今更、気づいた気分、なんか・・・ヘコむわ。」

未夢は事務所で聞いた話を、復習するように、確認をするように、ゆっくりと声に出していた、が、
慎也の声は一向に聞こえてこない、未だに、身体も顔も強ばったまま・・だった。

「あっ、そういえば・・さぁ、
『連れ出して最低でも、1週間は家へ戻らない方がいい』とも、言っていたでしょ、
それでね、
考えてみたんだけど、家へ戻らないで、そのまま、1週間、旅行へ行かない?」

「そうだなぁ、旅行も、良いかもなっ、俺、休みとるよ」と、
見るからに放心状態だった慎也が・・、速攻で返事を返した。

その反応に驚いた未夢の視線が、慎也へ流れると、未だに、どこか1点を見つめたままだった。

そうして、翌日、休日と時を刻んでいくと、部屋の中には、旅行パンフレットや悠季の衣類などが増えていく。そんな時を刻んでいると、罪悪感が薄れ旅気分が膨らんでいった。

「一週間・・、どこへ行く?」
「おいしいもの食べたいなぁ」
「温泉も・・いいなぁ」
「夏だし、海へ行こう」

会話までも弾み、ますます旅行気分が高まる。未夢は1年前の悠季を思い起こし、成長を想像しながら買い物をする。洋服、靴、帽子・・などなど、悠季に必要だと思うものを一つ一つ買いそろえていく。

そんな時間は、“悠季に会える”、“悠季を抱ける”、“悠季と旅行だ~ぁ”、
この思いは、日を追うごとに旅行気分が膨らみ、罪悪感が消えていった。

そうして、1週間のスケジュールを組むと、8月18日土曜日の夜、岩手にいた。


③ プレッシャーに弱い

いつものように岩手へ向かう2人が乗った車内は、いつも味わう緊張感が無く、弾む会話と声で、ワクワク気分満タンに、正に、旅行気分を満喫していた。

その後、なんでも屋さんとの待ち合わせ場所、ビジネスホテルのロビーに着くと、お互いが軽く挨拶を交わし、慎也が受付にて2本の鍵を手にした。

「では、部屋で少し休憩を取った後に、最後の打ち合わせをしましょう。」
「それでは、僕たちの部屋で」と、慎也が声を掛けながら1本の鍵を手渡した。

そうして、約30分後に、再び、4人が顔を合わせた。

「何か飲みます、ビールにしますか?」と、未夢の明るい声が呼びかけた。
「いいですね~ぇ、」と、笑みを見せた、なんでも屋さん。

ビールを囲み飲み始めると、なんでも屋さんの1人が静かにゆっくりと話しを始めた、
その内容は、慎也と未夢の旅行気分を一気に打ち消し、現実の時へ戻した。

「とにかく、悠季ちゃんを抱きかかえたら、できる限り、早く、車へ戻って下さい。
後ろを振り返らずに、まっすぐ、車を目指して、乗り込んで下さい。」

未夢を直視するなんでも屋さんの視線は、真剣に、切実に訴える。
その真剣さに、未夢の頭が縦に動く・・・が、

「あの・・もしも、追ってきたら、どう、なるのでしょうか?」

不安を大きくした未夢の気持ちが、ストレートに言葉に乗ったが、なんでも屋さんには、その質問の意味が伝わらない様子で、口を閉じたまま次の言葉を待っていた。

「例えば、偽善さんが追ってきた時に、足止めをしてくれる、とか・・?」

「僕たちは、腕力で阻止する事は出来ません。つまり、殴られても殴り返す事は出来ないのです。なんとか時間を稼ぐ事は出来ますが、それ以上の事は出来ません。だから、悠季ちゃんを抱きかかえたら、とにかく車へ向かって進み、乗り込んで下さい。車に乗ったら前だけを見て、高速道路に向かって走り抜けて下さい、一刻も早く高速道路に乗って下さい。」

真剣な眼差しで切実な現実をしっかり伝える、なんでも屋さんの言葉は、未夢に『最初で最後のチャンスです、失敗は絶対に許されません。』と、伝えていた。

未夢がゆっくり頷くと、なんでも屋さんの視線は慎也へ切り替わった。

「ご主人は車の中に居て、エンジンを付けたまま、いつでも走れる状態を保って下さい。そして、奥さんと悠季ちゃんが乗り込んだら直ぐに走らせて下さい。その時は出来る限り高速で走り抜けて下さい。どんなに速くとも、僕たちは、ご主人の車の後を追っていきます。」と、

言葉を切り、慎也の様子を伺っていたが・・・・・全く、反応なし。

すると、なんでも屋さんの慣れた切り返しが流れる、
「連絡は携帯で取り合いましょう。他に、何か、聞きたい事はありますか?」
静まり返る部屋の中で、
「それでは、明日、10時にロビーで会いましょう」の言葉にて、4人が立ち上がり頭を下げ合った。

部屋を出て行くなんでも屋さんを見送る慎也と未夢は、呆然。2人は、なんでも屋さんを頼り、全て、なんでも屋さんがやってくれる、守ってくれる、と勝手に思い込んでいた。そんな安心を獲得した気になっていた2人だったが、“そうじゃない、自分の手で自分の足でやる”。と知り、今まで繋がれていた “安心” という手が離れて奥深い穴の底へ落ちたような、あがいても、もがいても、誰も助けてくれない・・、そんな現実と孤独感に見舞われた。

2人は目の前に突きつけられた現実のデカさに、放心・・数分の時が流れて・・。
「ごめん、疲れたでしょ・・、巻き込んで・・ごめん。」と、未夢がささやく、無反応の慎也。

「明日、早いし、お風呂、入りに行く?」と、慎也を覗き込む未夢の声が流れた。
「そうだな、風呂、入るか。」と、らしくない声と単語のみで応えた慎也。

思考回路停止状態の慎也を見つめる未夢は、『ヤバ、かなり緊張している、もしかして、プレッシャーに弱いのかな・・』と、過ぎらせる・・が・・、未夢は見守る事にした。

その後、お風呂から戻った未夢は、部屋の中を片付けていると、慎也も戻ってきた、が、苛ついているのか、落ち着かない雰囲気を漂わせたまま、部屋の中を行ったり、来たりと、動き回る。

「あいつらさ、冗談ばかり言っていた。こんなの本当に役に立つのかよ。もっとさ、2人で打ち合わせをしなくてもいいのかよ!」と、自分が抱える不安を、なんでも屋さんへの苛立ちに変えて怒る慎也。

「えっ、お風呂、一緒だったの?」と『落ち着いて』の思いを乗せて未夢はゆっくり声を掛ける。

慎也の頭は微かに縦に動く・・が、忙しそうに動き回る足、ごちゃごちゃとイライラとしゃべり続ける口も止まらず感情を放出していた。未夢は、その口が一瞬でも閉じられるタイミングを狙う・・、

「お茶でも飲んで、座って」と、声をかける未夢、すると、怒りの表情のまま慎也が座った。

「あの人たちにしてみれば、明日の出来事は特別な事じゃないのよ、いつもの事なのよ。
だってさ、これが、あの人たちの仕事なんだもん、
大変だよね。
きっと、仕事中は緊張の糸を張り続けている、と思うょ。
その緊張を保つためには、気持ちの切り替えが必要で、息抜きが必要なんだと思うな。
冗談くらい言わせてあげてよ、
冗談を言い合っていた、なんて、素敵じゃない、
それだけ、明日は真剣勝負、と、言う事かもよ、ねっ。」

未夢の口が動いている間は、慎也の口は閉じられた・・が、全く耳に届いていない様子・・。
未夢の口が閉じると、再び、慎也の口は同じ勢いのまま怒りコメントを流した。

慎也を見守る未夢は『プレッシャーに弱い』と・・フゥー、眠りに就いた。


④ 旅立ちは高速道路を走る(悠季5歳、夏の終わりに)

岩手に住む悠季に会いに行く時は、まず、偽善宛てに葉書で日時を知らせる。 当日は、偽善の自宅へ向かう途中で公衆電話から電話を入れる、その後に、再び車を走らせて家へ向かう。

今回も、いつもと同じ流れを踏んで、悠季が住む家に道路に着いた。

車から降りた未夢は後ろめたさに背中を押されて、ドキドキが高鳴る、『いつものように、いつものように、』と、 なんでも屋さんからのアドバイスを噛みしめて、足を動かす。そのとき、

「ママー、ママー」と、悠季の大きな声が聞こえてきた、
未夢の視線が悠季を捕らえると、大きく両手を振るその姿は『待っていたよ~』と、聞こえた。

未夢の顔がほころぶと『ヨシ、ヤッタァー』と、ガッツポーズの代わりに、自然に腰が下がると『早く追いで』と両手を広げた。そんな未夢の腕の中に吸い込まれるように悠季が飛び込んだ。

悠季を抱き抱えた未夢の身体がクルッと、180度回転すると、足が勝手に走り出した。
『マズイ、冷静に、冷静に・・』と、噛みしめながら歩調を戻し、悠季を見つめると、

「ママと暮らそう」と、笑み満タンに声を掛けた。
・・・そのとき、
悠季の顔から笑みが消え、口を硬く閉じると・・、困った顔が現れた。

そんな悠季に不安を抱えた未夢の視線が動揺を隠すように・・車を探す。すると、後部座席のドアが開き、まるで『早くおいで、早く乗って』と、言わんばかりに進行方向へ進路をとって止まっていた。

未夢は『ありがたい』の思いを 「エンジン、付けて」の言葉に代えて、
悠季を抱きかかえたまま乗り込むと『急げ』の思いが「走って」と声を飛ばす。

悠季と未夢を乗せた車が走りだすと、
未夢の視線は・・悠季を見つめる・・、不安げな悠季の表情は未夢を呑み込む。
『このまま連れて行っても・・いいのだろうか・・』と、
頭の中で自問自答が・・ひろがる、そのとき、

「おっ、追ってくる、追ってくる、すげ~、すげ~ょ」と、興奮しまくる慎也の声が飛ぶ。
「すげ~ょ、すげー、俺がどんなに速く走っても、付いてくる、すげ~よ、」と、

まるで、初めての遊園地で興奮しまくる子どものように、慎也は喜び勇んでいた。
そんな慎也にため息を漏らす・・未夢の視線は・・悠季へ、

堅く口を閉じる悠季の顔が『・・困る、悩む・・困る』を、交差させていた。
それでも未夢・・は、
「ママと暮らそう」と声を掛けては、悠季の顔を見つめる、

無言を貫く悠季へ、未夢は何度も何度も繰り返した。
でも、悠季の口は・・全く、動く、気配なし・・

そんな悠季を見つめ続ける未夢は『連れて行っては、ダメ?・・なのか・・』と、不安を大きくして、口を閉じる。すると『ママと暮らしたい』と、必死に訴えた当時の悠季が未夢の脳裏を占領した。『あの時の悠季を信じろ “迷うな” 』と、自分へ言い聞かす未夢。

そのとき、飛び交う慎也の声が、未夢の耳に飛び込んできた。
悠季から慎也へ視線を代えた未夢が目にしたのは、
顔いっぱいに笑みを含み車を走らせる慎也。

そんな慎也を見つめて『声を掛ける事によって興奮を加速させる・・!?』が過ぎると、“それだけは避けたい”、と口を閉ざし『早く、早く、看板が現れて』と、心の中で唱え続ける未夢。


高速道路へ向かう車内の中は、それぞれの思いが飛び交う。


「あっ、高速道路への看板が出てきたよ、ほら、左、見えた? 見た?」と、
未夢は、できる限り冷静にゆっくりと声をかける。

「あぁ、判った、見たよ、もう時期だな~ぁ」と、
慎也の落ち着いた声が聞こえてきた。

未夢は、ホッと胸をなで下ろしていると、携帯電話が鳴った。

「追ってきそうもありませんね、高速の入り口、中へ入る手前で車を止めて下さい、そこで待っていて下さい。」と、なんでも屋さんからの指示を、慎也に伝えた。

慎也の車が止まる、
後方になんでも屋さんの車も止まる、
車内から1人が降りると、歩いてきた。
悠季が座っている窓がノックされた、
未夢が窓を開けると、
なんでも屋さんの顔が現れた。

「追ってきそうもないので、ここで別れましょう。」と、あっさり言う。

あまりにも素っ気ない言葉に未夢は驚いた、が・・、慌てて鞄から封書を取り出した。この封書には『無断で悠季を連れ出した事への謝罪と全ての責任は未夢にある』と、書き記した物だ。

「すみませんが、この手紙を偽善さんへ、渡してもらう事はできますか?」
「はい、判りました、渡しておきます。では、気をつけて」と、
即、返事を返すなんでも屋さんの声と言葉は、
『早く高速道路に乗って下さい』と、促しているように届いた。

そんな、なんでも屋さんの手が、悠季の頭へ伸び、撫でながら、
「もう、ママと放れないようにね。」と、笑みを送った。

その仕草に、その言葉に、『連れ戻される例がある・・』と、なんでも屋さんが以前に教えてくれた話が、未夢の脳裏を横切る・・『絶対に、守る』と、噛みしめる未夢。

「お世話になりました、ありがとうございました。」と、
未夢が頭を下げると、運転席に座っている慎也も振り向いて頭を下げた。


見送ってくれるなんでも屋さんの車を目にしながら、高速道路に乗った。
慎也の車は加速しながら前へ進む、
後部座席に座る悠季と未夢の視線は、流れる景色を見つめる。

すると、
「ママは捕まらないの?」と、不安げな表情で未夢に問う悠季、
「大丈夫だよ、ママは捕まらないよ。」と、
笑みをこぼしす未夢は口を開いた悠季に喜ぶ。

「悠ちゃんがママの所へ行ったら『お巡りさんに言ってママを捕まえてもらう。
だから、ママの所へ行っちゃダメだ』って、パパが言っていたよ。」
と、偽善からの脅迫を語る悠季は、拭いきれない不安を未夢に訴えていた。

「そうか、ありがとうね、ママを心配してくれたんだぁ。大丈夫だよ、
ママは、悠季と、ずーと、一緒に居るよ。」と、笑顔満開の未夢。

慎也のはしゃぐ声が消え、悠季の声を聞けた。
『よかった~ぁ』と、未夢は1人でホッとしていた。

車は予定通りに仙台へ向う、今日から1週間の旅が始まった。



※なんでも屋さんとの出会いは※
親が居ない未夢が “親の代わりになってくれる人” として、なんでも屋さんを選んだ。そして話し合いの場にも立ち合ってもらった人です。今になって振り返ると、立会人は弁護士が最適かも知れない、例えば、その後に、なんらかの裁判を起こす時でも、始めから現場の様子を見てもらえる事は、もしかして、大きなメリットではないか、と、思った。


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